通夜の食事(通夜振る舞い)の席でのマナーと献立の知識:参列時や喪主側の準備を解説
お通夜への参列が決まった際、「お食事に誘われたけれど、どう振る舞えばいいの?」と戸惑ってしまうことはありませんか。また、喪主側として準備を進める際も、「どのような献立を用意すれば失礼がないのか」「予算や量はどのくらいが適切か」と悩まれる方は多いものです。
お通夜の後に振る舞われる食事は「通夜振る舞い(つやぶるまい)」と呼ばれ、故人を偲ぶ大切な儀式の一つです。この記事では、参列者・喪主それぞれの視点から、通夜の食事に関するマナーや具体的な対策、最新の傾向を詳しく解説します。
通夜振る舞いの意味と役割
通夜振る舞いとは、お通夜の儀式が終わった後に、喪主が僧侶や参列者を別室へ案内して供する食事のことです。
これには大きく分けて2つの意味があります。
故人への供養:参列者が食事を共にすることで、故人と最後の食事を分かち合い、あの世への旅立ちを祈ります。
参列者への感謝:お忙しい中、足を運んでくださった方々へのお礼の気持ちを表します。
関東地方では一般参列者にも広く振る舞われることが多い一方で、関西地方では親族のみで行うのが一般的など、地域によって風習が異なります。まずはご自身の地域の慣習を確認しておくことが大切です。
参列者として知っておきたい食事のマナー
急なお通夜の席で、周囲に不快な思いをさせないための振る舞い方をまとめました。
1. 声をかけられたら「一口でも箸をつける」のが基本
喪主側から食事の案内があった場合、基本的には断らずに会場へ向かうのがマナーです。通夜振る舞い自体が供養の一環であるため、「一口でも召し上がってください」という言葉には「故人のために」という意味が込められています。
どうしても予定がある場合は、「この後、急ぎの用件がございまして」と丁寧にお詫びを伝えて退席しても失礼にはあたりません。
2. 長居は禁物
通夜振る舞いの席は、宴会ではありません。故人を偲ぶ場所ですので、滞在時間は30分から1時間程度を目安にするのがスマートです。席が混み合ってきたら、次の方に場所を譲る配慮も必要です。
3. 会話の内容と声の大きさに注意
久しぶりに会う親戚や知人がいると、つい話が弾んでしまうかもしれませんが、大きな声で笑ったり、騒いだりするのは厳禁です。話題は故人の思い出話を中心とし、忌み言葉(重ね重ね、たびたび等)を避けるよう意識しましょう。また、死因を詳しく聞き出すような行為も避けるべきです。
4. お酒の飲み過ぎに注意
ビールや日本酒が用意されていることも多いですが、あくまで供養の席です。顔が赤くなるほど飲んだり、酔って絡んだりすることは絶対に避けましょう。
喪主・遺族側が準備する際のポイントと献立選び
葬儀の準備は時間との戦いですが、食事の準備は参列者の満足度や印象を左右する重要なポイントです。
1. どのような料理を選ぶべきか
通夜振る舞いでは、大皿料理を囲むスタイルが一般的です。これは、参列者が自分の都合に合わせて少しずつ食べられるように、また席の入れ替わりをスムーズにするためです。
定番の献立:お寿司の盛り合わせ、サンドイッチ、オードブル(唐揚げ、煮物、天ぷらなど)
温かいもの:最近では、お清めの意味も込めて「お蕎麦」や「うどん」を用意するケースも増えています。
避けるべき食材:かつては「四つ足生臭もの(肉や魚)」を避ける精進料理が基本でしたが、現在はそこまで厳格ではなく、一般的なオードブルでも問題ありません。ただし、伊勢海老や鯛など「お祝い事」を連想させる食材は避けましょう。
2. 用意する量の目安
通夜は告別式と異なり、当日にならないと正確な参列者数が分かりません。そのため、一般的には「返礼品の用意数」や「予想される参列者の7割〜8割程度」の分量を用意するのが無難とされています。足りなくなって慌てることがないよう、追加注文が可能かどうか事前に葬儀社と打ち合わせておくと安心です。
3. 予算の相場
地域や料理の内容にもよりますが、一人あたり3,000円から5,000円程度が一般的な相場です。これに飲み物代が別途加算されます。
現代における「通夜の食事」の変化と対策
時代の変化とともに、通夜振る舞いの形式も多様化しています。
持ち帰り用(お弁当)の活用
近年、感染症対策や衛生面への配慮から、会場での食事を控え、代わりに「通夜弁当」や「お持ち帰り用の折詰」を配る形式が増えています。また、食事の代わりに「グルメカタログギフト」や「クオカード」を添えるケースも見られます。
宗教・宗派による違い
仏教:上記の通り、通夜振る舞いが行われます。
神道(神式):通夜祭の後に「直会(なおらい)」という食事の席を設けます。意味合いは仏教とほぼ同じです。
キリスト教:本来「通夜」の概念はありませんが、日本独自の習慣として「茶話会」形式でサンドイッチや小菓子を出すことがあります。
食事の席でよくある疑問・お悩みQ&A
Q. お清めの塩はいつ使う?
食事の前に使うのが一般的です。ただし、宗教や地域によっては不要とされる場合もあります。会場の入り口に用意されていることが多いので、案内に従いましょう。
Q. 喪主挨拶のタイミングは?
通夜振る舞いの開始時と、終了時(お開き)に行うのが基本です。
開始時:「本日はお忙しい中、お越しいただきありがとうございます。ささやかではございますが、供養のお印をご用意いたしましたので、お時間の許す限り故人を偲んでいただければ幸いです」
終了時:「夜も更けてまいりましたので、本日はこれでお開きとさせていただきます。明日の葬儀もよろしくお願いいたします」
このように、短く簡潔にまとめるのがポイントです。
Q. 弔問客にお酒を勧めてもいい?
お勧めしても問題ありませんが、車で来ている方や体質的に飲めない方もいらっしゃいます。無理強いはせず、ソフトドリンクも十分に用意しておくことが配慮となります。
まとめ:心を込めた「食」のひとときを
通夜の食事は、単にお腹を満たすためのものではありません。故人を囲み、生前の思い出を語り合う時間は、遺族にとっても参列者にとっても心の整理をつける大切なひとときとなります。
マナーを守ることは大切ですが、最も重要なのは「故人を思う気持ち」と「周囲への配慮」です。この記事で紹介した基本を押さえておけば、どのような立場であっても落ち着いて対応できるはずです。
もし、具体的な手配や地域特有のルールで迷った際は、遠慮なく葬儀社の担当者に相談しましょう。プロの視点から、その場に最適なプランを提案してくれます。
あわせて確認したい準備リスト
参列人数の予測(芳名帳や過去の年賀状を参考に)
アレルギー対応の有無(親族に確認)
飲み物の種類(ビール、日本酒、ウーロン茶、オレンジジュース等)
予備の箸や取り皿の確保
落ち着いて準備を進め、故人との最後の大切な時間を穏やかに過ごせるようにしましょう。